‘当たり前’と思っているものがそうでないという異常事態







 

 今日は私の仕事はお休みで



 ともあればその日は仕事をいれずに



 側で本を読み、私の背凭れになってくれる彼は



 この日でなければ出来ない仕事とやらがあるらしく



 その姿が此処にはないのです



 久しぶりに過ごすたった一人の休日なのです



 静かな部屋をぐるりと見渡せば



 やらなければならないことも



 やりたいことも特にみつからないのです



 物足りなさを感じはするのですが



 フローリングに腰を下ろし



 いつものようにベランダの窓へと向き合ったのです



 そうして初めて異変に気が付くのです







 「………」







 つまらないのです



 何時間と眺めても飽きる事など無かったはずの空が



 何も感じられないのです



 いつの間に体の力を抜いてしまったのでしょう



 いつもある支えがない体は



 何にも逆らうことなく落下運動に従うまでなのです







 「っ〜〜〜!」







 強く打った後頭部を擦ります



 痛みは声にならないほどなのです



 頭の痛みが薄れていくと



 また別の異変に気が付いたのです







 「…あ、れ?」







 息が上手く出来ないのです



 酸素を取り込まなければと息を吸い込みます



 二酸化炭素を排出しなければと息を吐き出します



 呼吸とはこれほど困難な作業なのですか



 呼吸とは意識して行わなければならないものなのですか



 息を吸う、吐くを繰り返せば繰り返すほど症状は悪化するばかり



 何が足りないのでしょう



 それは思考するまでも無く明らかなことなのです



 

 たまらず部屋を飛び出します



 靴も履かず玄関の扉を開けると



 部屋着が外の気温に不釣合いで肩が竦むのです



 それさえ構わずそのまま



 彼が帰ってくるのを待つのです



 中に戻るのが恐ろしかったのです



 外にいた方が幾分ましに呼吸ができたのです



 そんな自分を小さく嘲笑います



 でもやはり上着ぐらいは取りに戻るべきだったのです







 「………?」







 彼が返ってきた頃には







 「!」







 吐き出す息は真っ白の霧に



 常ならば雨のそれが雪になるほどの気温になっていたのですから





真空パック







貴方に「おかえりなさい」という為に。
大きく息を吸ってみた。
驚くほど容易い作業に。
それは声にならなかったけれど。

3作目になりました、airflowです。
呼吸が上手く出来ないことってないですか?
意識してやらないとままならないような時がありませんか?
自分はたまにあります。
確かにあるはずの酸素を体が取り込めない。
苦しくて苦しくて。
もう空気のない空間に閉じ込められてる気分になります。
何が原因なんでしょうね??さっぱりわかりません。
これじゃあヒロインはバージルがいなきゃ息できないみたいかも?(苦笑)
自分がお休みの日にいつもは側にいるバージルが居ないからそうなるって感じが出てるかな…
だから別に外出してれば何にもなかったんですよ。
でもいつも通りにしようとしたからバージルがいない事を妙に意識してこうなった、と。
DMCページのタイトルのしたのトコに薄っすら「2.9℃」って
あったと思うんですけども、続きって形になります。
書いてて楽しいんですけども申し訳ない、バージルの出番少なくて…
出てきたのホントに最後だけじゃん(汗)
ばっちり次はお兄タンに出て頂きますので今回は勘弁っ